○○さんの場合

◯◯さん、宿題提出ありがとうございました。それでは気がついたことをお伝えしますね。

 

まずは全体的に「私」が定まってきましたね!主人公の気持ちが作品を通して流れ始めています。卑屈で自信のない「私」が見えてきています。ここが定まると話が面白くなりますので、良い方向に行っていますよ!

 

その上での改善点ですが、地の文の私が安定してきたので、2人のやり取りをもっと自然にやりたくなりますね。

 

Aが「なかなか」と言い出すところですが、地の文から目を上げながらもうAになってしまいましょう。セリフを言う時にその人になるのでは遅いです。その前からその人になっていないとうまくセリフに移れないので、「なかなか」と言い出す前に目を上げながら少し座り直してみましょう。そういう間を取りながらAになってください。

 

それからその後の「うまくいかないね」と後に続くAのセリフが、前のセリフと途切れないようにしましょう。地の文が入るので実際は途切れてしまうのですが、地の文を読みながらもすぐにAになれるよう準備しておいてください。

 

さらにAからBになるところですが、ここは「そりゃそうだろう」は覚えましょう。Aのセリフからダイレクトに向きを変えることでBになりたいです。ここは二人とも笑顔でしょうから、同じような気持ちで声だけ少し意識して貰えば、向きも変わりますし、十分にAからBになっているのはわかります。この二人のセリフを物語に沿って言えると、その後の「私」が泣くほど感動するところにうまくつながります。

 

「私」の方ですが、「その時」と「私は立ったまま泣いていた」の前は、もう少し間が欲しいです。この間は、AとBの2人の姿を聞き手にイメージしてもらうため、読み手が率先してその状況をイメージする間です。やはり読み手がイメージできないことは、聴き手に伝わらないんですよね。読むことに慣れたら、その状況を思い浮かべてみましょう。

 

その後ラストまではとても良いです!「私」が初めて負けを自ら認められた清々しさや、これから先を見つめる力強さが感じられました!ゴールはここで良いです。ここに至るまでの流れを聴き手にわかってもらえるよう、細かいところを詰めていきましょう。

 

何度も言いますが、これは難しい作品です。しかし果敢にチャレンジしてここまで来ているのは、本当に素晴らしいです。次回は頭から通して、全体を見ながらバランスを取っていきましょう。お疲れさまでした。